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「うん。朝来て、夜までずっといる」
「え、朝から夜まで? そんな長い時間、なにするんですか?」
水族館を見るのにそんなにも長い時間かけるイメージがなくて、思わずそう言うと、真田さんが小さく笑う。
「なにって、魚見てる。
なんか落ち着くんだよね。水族館って。
こうやってずっと見てると、心が静かになって、頭がカラッポになって。
その感じが好きなんだ」
水槽に手を当てて、懐かしむように目を細める真田さんの顔が、ブルーに染まる。
それが綺麗で、つい目が離せなくなる。
「あ、今、暗! って思ったでしょ?」
「えっ、い、いえ。そんなこと思ってないです」
急に真田さんが振り返ったから、声が上擦ってしまう。
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