122人が本棚に入れています
本棚に追加
ローテーブルの足にもたれさすように、置かれている黒の鞄が視界に映る。
今日のラフな格好には、どう見ても不釣り合いなビジネス用の鞄。
チャックは、まるで調べて欲しいと言わんばかりに開いている。
どうして、今日こんな鞄を持ってきたの。
どうして、こんな無茶なお願いに、何も聞かずに付いて来てくれたの。
どうして、まるで気付かせるみたいに、私を導こうとするみたいに、そんなヒントを残すようなことばかりするの。
その答えは、きっとこの中にある。
だから、彼はこれを置いて、私を一人にした。
最初のコメントを投稿しよう!