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「父親の趣味だったんです」
住宅地から少し離れた所に建てられたこの大きな家は、どう見ても奇妙で、子供の頃はよくからかわれていた。
こんな家を建てた上に、お父さんは家から必要以上には出ようとしなかったから、「人嫌い」とか「変人」とか、近所の人に色々噂されていた。
娘の目から見ても、頑固で変わり者だと思っていたから、それは強(あなが)ち間違いではなかったけど。
「作家さんだっけ?」
「いえ、違います。
まぁ、ずっと文字ばっかり書いてたんで、似たようなものですけど」
ふーん、と相槌を打ちながら、真田さんは螺旋階段を見つめている。
また覚えてしまった違和感には、今は気付かないフリをした。
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