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「これ、水野さんの絵?」
振り返ると、真田さんが並んだ二つの絵を、まじまじと見ていた。
「あっ、ちょ、見ないでください!」
慌ててそっちに行ったけど、もう十分見終わったあとだったみたいで、真田さんは微かに肩を震わせている。
「水野さん、壊滅的に下手だね」
「小さい時のですからっ」
笑いをこらえた状態で言われて、背中を強めに叩く。
今もあんまり上手くはないけど、それでもこれよりはマシになったし。
っていうか、理奈ちゃんがすごく上手いから、余計に下手に見えるだけで。
心の中で言い訳してたら、真田さんの押し殺した笑い声が止まったから、顔を上げた。
真田さんは顔を少し上に向けて、理奈ちゃんの絵を見ていた。
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