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真田さんが喋るのを止めて、沈黙が訪れた。
小さく息を吐いた真田さんが、私に視線を向けた。
「……これがあの日にあったことだよ」
もう頭はぐちゃぐちゃだった。
既にパンク状態だった。
言葉に出来ない感情が、たくさんの感情がぐるぐると入り混じる。
「……あとは大体想像出来るでしょ? 俺と理奈が二人でしたこと。
花瓶片付けて、血を拭き取って、死体を隠して、手紙を偽造して。
偽造は割と楽に出来たよ。君達のお父さんは、パソコンじゃなくて、手書きで原稿を書いていたから。使えるものはいくらでもあった。
意外と警察って雑にしか調べないもんだね。
まぁ、君達のお父さんの評判のせいっていうのも、大きいのかな。
変わってて、人嫌いで、誰も寄り付けようとしなかったから。
確かにこの人だったら、失踪くらいやりかねない、って思われてたんだろうね」
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