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これ以上、もうなにも聞きたくなくて、目をきつくつぶった。
温度のない声は、容赦なく胸を抉(えぐ)る。
許容量をオーバーしている頭は、鈍い痛みを訴えていて、こめかみを押さえた。
「……水野さん」
顔を上げない訳にはいかなくて、緩慢な動きで彼へと視線を向けた。
「もう、わかったでしょ? 君はなにも知らなくて、なにもしていなくて……君はなに一つ悪くないってこと」
真田さんは私の顔から、腕の中の日記へと視線を移した。
「それにも書いてあるんだけどね、……理奈の自殺は、水野さんは自分のせいだって責任感じてたみたいだけど、本当は逆だ。君が責任を感じることは全然ない。
君には全く責任はないし、君が苦しむ必要なんてない。
理奈は、お父さんにしたこと、この罪を隠したこと、……君を身代わりにしてしまったことを悔やんでたんだ。ずっと。
だから……」
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