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「……どうしてだろうね。
君が今も思い出してないか、心配になったからかな。
それとも、もしかしたら思い出してるかもしれない君に、慰めてもらいたかったからかもしれない。
でも、バーで会ったのは、本当に偶然だよ。
たまたま行ったバーに君がいて、すごい驚いたよ。まさかそこに君がいるなんて、予定より早く会うなんて思ってもなかったから。
声掛けようか散々迷って、結局掛けちゃったけど、水野さんが覚えてなくて、正直ほっとした。
意識のなかった君が俺のこと覚えてなくて当然なんだけど、だけど、俺には君が本当に何も見てないかどうかはわからなかったから。
それを確かめたかったのかもしれない」
私と真田さんが、初めて視線を交わした夜が蘇る。
なだれ込むように、真田さんと交わしてきた会話が、見せてくれた笑顔が、与えてくれた優しさが、次から次へと頭の中に溢れかえる。
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