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「どこまで読んだ?」
「……半分くらいです」
「そう。じゃあ、なにか少しくらい思い出した?」
真田さんは、まるで全てを知っているかのように言う。
頭が鉛(なまり)のようにすごく重くて、ただ質問に答えた。
「……あの日に理奈ちゃんと入れ替わったことと、理奈ちゃんが……花瓶で……」
蘇る映像に、嗚咽が出てきたせいで口を覆う。
最後まで言えなかった私に代わるように、真田さんが続ける。
「うん、そっか。じゃあ、全部思い出したんだね」
「じゃあ……じゃあ、理奈ちゃんが……」
「ううん、違う」
私の震えながら言った言葉を遮るように、真田さんは言って、
「俺だよ。君達のお父さんを殺したのは、俺だ」
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