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淡々と続けられた、想像すらしていなかった答えに、心臓を掴まれる。
彼は、顔色ひとつ変えていない。
直哉先輩というのが本当に真田さんのことならば、真田さんは確かに理奈ちゃんの日記には出てきていた。
だけど、私の記憶にはいない。
あの時に、真田さんはいなかった。
あの時にいたのは、私と理奈ちゃんとお父さんだけ。
「真田さん……なに言ってるんですか……? そんなの有り得ない……」
「君が見たのはそこまでだから。だから、そのことは知らなくて当然なんだ」
「そこまで……?」
「そう。君は途中で倒れたから。あの公園の時みたいに。
俺が来た時には、既に意識がなかった」
用意されたセリフを読むみたいに、淡々と続けられるそれに、頭がついていかない。
理奈ちゃんの日記が、思い出した記憶が、真田さんの言った言葉がぐるぐると回る。
聞き返すことすら出来ない私に、真田さんは一歩近付いた。
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