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日記を読んでわかっていたのに、本人の口から聞くと、胸が殴られたように苦しくなった。
嗚咽を漏らそうとする口では、息がうまく出来ない。
真田さんは、そんな私を一瞥すると、
「じゃあ、何から話そうか? 理奈との出会いから話した方がいい?」
「本当に……」
呟くようにしか言えなかった声に、真田さんが眉をひそめた。
「本当に真田さんが……お父さんを殺したんですか?」
泣きたくなくて唇を噛み締めながら言った私に、真田さんは目の奥を揺らした。
だけど、それは一瞬だけで、またさっきまでと同じ表情に戻った。
「……本当だよ。
そうだよね。それが一番重要な話だからね。じゃあ、その日のこと、順を追って話すよ」
真田さんは一度視線を伏せる。
そして、息を小さく吐くと、思い出すように、ゆっくりとその日のことを話し始めた。
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