1 近鉄奈良線

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1人息子は自立しており、今は 妻と二人暮らしである。 山神刑事の最近の情報はさて起き、 遺体の首にははっきりくっきりと索溝が入っていた。 そしてその凶器と思われる紐は、流し台近くに無造作に置かれていた。 「絞殺ですね」 耳元で低い声がした。 同じく1課の染井野刑事(37歳)であった。 「せやなぁ」 山神刑事は、相変わらず哀れみな目で、横たわっている者を全体的に見回した。 そのガイシャは、ショートカットでハーフっぽい顔だちの、わりと美人で、ラフな自宅着姿だが、長身でスタイルの良さをかもし出していた。 「発見者は?」 山神が誰とはなしに言うと、せかせか動いていた古村刑事(32歳)が、すぐさま寄ってきて 「発見者は、新線子と言うガイシャの友達で、隣の部屋に居てるんですが、大部、取り乱していて、話し聞くんは、今、ちょっとムリな状態ですわ」 と言った。 「そりゃ、しゃーないな。落ち着くのを待とか」 友達の死の第一発見者である。 フツーの感情ではいられないだろう。 「や、山さん、これ、隣の和室にあってんけど見て下さいよ」 相田巡査部長刑事(40歳)がなにやら、血相を変えて、フォトフレームを持って来た。 その理由は、渡された写真を見て判った。
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