第1章

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***  ある日の朝、なんてことない平凡な1日の始まり。夏休み明けた直後に起こるイベントなんて、精々が課題が終わってない奴らの叫びを聞くことだろうよ。  42人のクラスメイトに対して少し手狭な教室。窓際の真ん中、場所としてはいいが狭い教室では移動がめんどくさい。教室のドアを開けると、俺は机と人の間を縫ってようやく自分の定位置へと辿りついた。  春に新入生として入学してきた俺達が並べられた出席番号順の席。もう夏休みも明け、渋々登校した俺達が未だその席のまま変わらない理由、それは単純にただ面倒臭いだけだろう。 教師としてもプリントが番号順に並べられることは嬉しいのだろう。とても合理的、効率的だ。  荷物を降ろし、ようやく一息ついた俺はある違和感に気付く。この辺で隣の席のうるさいクラスメイト兼大親友と宣る奴から朝の挨拶とやらがあってもいい筈だが。  一体何時に学校に来ているのかわからないコイツは、聞くところによると部活の朝練組よりも登校が早いらしい。別に、交通手段に困るような場所でもあるまいに。  そこまで早く来る理由は?
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