第1章

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 考えて答えが出るならこんな疑問は抱かない。高校に入ってからできた友達、そして半年程度の付き合いなのだ。  寮を使って県内外から生徒を集めるこの学校でのクラスメイト、つまりアイツと俺の家は遠い。俺が、遠いんだ。  入寮を奨められる距離ながら、頑なに家から通う俺。  理由は特にない。だから、ただの時間の無駄。  本来ならば睡眠時間に当てられるはずの3時間は、移動時間に消えてしまった。  バスの中で揺られる朝の1時間半は考え事をするのにピッタリである。つまり、深刻な悩みがあると泥沼に嵌る。  深刻な悩みとは即ち、その親友とやらだ。  溌剌が売りのような奴が最近は元気がない、ゲッソリしている、顔色が悪い。  いや、今日は夏休み明け2日目、昨日は始業式で今日はまだ会ってないんだけど。運動部に夏休みとか一日オフなんてものはないんだよね。  部活しに学校に行ったらそんな顔の奴と出会うんだぜ、朝から。嫌でも気になるわ。  ソイツがさ、毎回毎回、俺が見かけてから10分もしないうちにまた元気になってるんだわ。  いや、変わった、というか。  戻った、なんだけど。
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