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切なげなのに子供のような表情に夢中で、木手の言葉のあと、時間が一瞬止まった気がした。 言葉を発した当人は、照れくさいのか眉を下げ唇を噛んだまま再び下を向く。そんな様子に、秋本はぱちくりと遅い瞬きを数回した。 「……ご、ごめん…」 「……分かればいいです」 「でも、あれは何がなんだかわからなくて……俺もびっくりして」 口を動かしながらも、態度を豹変させた木手を見ることに神経は向いていた。 きっと、顔が熱いんだろう。秋本自身、今日も含めよく赤面するので下を向きたくなる気持ちは良く分かる。ただ、自分が頻繁にするその仕草を自分よりも大人びた男がしているのを見ると、なんとも言えない気持ちになった。 「(……かわいい)」 そんなことを言ったら、木手はどんな反応をするだろうか。でもその前に、そんな女にかけるような言葉を男にかける勇気が、秋本にはない。 「……何笑ってるんですか」 「え!?わ、笑ってないよ!」 「笑ってますよ」 恨めしそうな目を向けられ、思わず緩んでいた頬を抑える。木手はようやくいつもの表情に戻ることが出来たらしく顔を上げるとコーヒーを一気に流し込んだ。
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