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木手の電話を待つ間、あまり生活感のない部屋をぼんやりと見渡す。
学校、駅から徒歩圏内の、なかなか広い2K。きっと、家賃は安くはないだろう。
「(…テレビもベッドもここにあるってことは…あの部屋は書斎かな…)」
微かに木手の声が聞こえる扉を見たあと、もう一度ぐるりと今いる部屋を見回す。
綺麗すぎる上に、物がほとんど何もないキッチン。
大型のテレビ。
そして、見るからにふかふかの大きなベッド。
洋画に出てくる金持ちが、こんなベッドで寝ていた気がする。空気を含んで膨らんでいるそれを見ると、包まれたくてうずうずした。
誘惑に負けそっと手をついてみると、全てを吸収するように布団は秋本の手を飲み込み、その感触が心地よくて秋本は何度もふかふかの布団に手や腕を絡めた。
「……気持ちいい…」
触れたところは次第に温かくなり、ずっと触っていたくなる。それが木手の物であるということが頭からすっかり離れてしまうほど虜になっていた。
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