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いつも下を向いている長いまつげは珍しく上を向き、その分普段は隠れている黒目が大きく見える。そんな瞳は瞬きをするのも忘れ、様子の違う秋本を捕らえていた。 色の変わった丸い目と、瞬きを忘れた黒い目が重なって秋本は妙に冷静になり、同時に羞恥の感情がこみ上げる。 「…ご、ごめん」 「いや、おもしろいですよ。水族館が好きなのはよく分かりました」 「……そう……よかった……」 消え入るような秋本の声に、木手は思わず吹き出した。木手もまさか、そんな単語でこの大人しそうな男のテンションが上がるとは思ってみなかっただろう。 恥ずかしさを隠しきれない秋本は、耳を赤くしながら思わず乱してしまった姿勢を元に戻す。そして本日2杯目の、木手の家で飲んだそれより味の薄いコーヒーを喉に流し込んだ。 「何が好きなんですか?」 プライドが高いわけでは無いだろうが、控え目な性格ゆえに自分のことをすぐに“ダメな人間”と見てしまうのだろう。もしくは、自分で感情をコントロール出来ていない事に空回っているのかもしれない。 そんな年上の秋本を見守るように見つめながら、木手は聞いた。
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