第1章

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私たちは別々にトイレに立つ振りをしながら、ちょうど入ってきた数人の大学生らしき団体に隠れるように店の外に出た。 まだ10時前だということもあり、週末の繁華街は人も多く、にぎやかだった。 遅れて外に出た私を見て、店の前で待っていた貴島さんは、何も言わず微笑んでうなずき、導くように歩き出した。 なんとはなしにほろ酔い気分が心地良くて、彼の後をついて行った。 角を曲がり、さっきの店が見えなくなった所で、彼は私の隣に並び話しかけてきた。   「よかったら、僕の知ってる店に一緒に行きませんか」
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