はからずしも――人生なんてものは

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――何かが 「とにかく無事そうで良かったわ」 「――」 強がってるようにしか見えないカズくんを私は見上げる 「なに」 「別に?」 この人は、本当に不器用過ぎて ――それが イチさんで ずっと、きっとこのまんま、なんて 「急いで来たから、何も持ってこれなかったね。何か欲しいもの、ないかな」 「ああ、翼に聞くか」 病室に戻ると、お母さんが「孫もいいわね」と、淡々と言っていた 消化できない何かがそこにある ――でも、それは私には顔をつっこめるようなものじゃないから。 そう、この日は帰宅した
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