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「強盗が家に押し入ったのかしら」
鑑識官・蓮美は愛用の眼鏡を片手で押し上げて物が散乱した部屋でよこたわっていた被害者をマジマジと見た。
「両手、両足、後頭部に痣、内出血の様子から、出来てまだ新しいものだわ」
強盗と激しく揉み合ったのか、防御瘡と思しき痣を蓮美は発見するが、
「そうでも無いみたいですね」
荒木刑事は被害者の財布から三万円と、それを引き出したと思しきATMの領収、眼科の診察券、日付は今日の15時30分、眼鏡店のカードを発見した。
故に、財布に入った三万円が盗られていないのは強盗目的ではないと荒木は思った。
「被害者は視力が悪かったようですね、眼科で視力を検定した後、眼鏡店で眼鏡を購入する……予定だったようですが」
生憎、被害者は眼鏡を掛けていない。
「していないのは何で?」
「犯人と格闘するうち、何処かに落としたのかも」
「探しましょう」
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