イチゴのショートケーキ

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20人くらいの男女が集まっていた、海辺近くのバーベキュー場。缶ビール片手におしゃべりする人、ひたすら肉を焼くことに徹している人。その肉を焼いたそばから、たいらげちゃう人。みんなそれぞれの楽しみ方をしている中で、美和はその輪に入れず、少し離れた場所で缶ビール片手に太陽に反射してきらきらする海を見ていた。大勢でワイワイしたり、初対面の人と話すことが、美和は苦手だった。 ぬるくなった缶ビールを飲みながらぼけーっとしていたときだった。 「なんか、哀愁漂ってる。昼間からやることなくて、ビールひっかけてるおっさんみたいだよ」 美和の背後から声がした。 それが、真人だった。 振り返ると真人は美和に笑いかけた。あのときの真人の表情が、美和の頭の中に今でもはっきりと焼き付いている。
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