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「哀愁漂っちゃってる?」
真人の笑顔に、美和も自然とおちゃらけて返すことができた。
「ここ、座ってもいいかな」
「うん」
美和と真人は並んでベンチに座り、お互いのことを話始めた。
真人も美和と同じで、大勢でワイワイすることが、苦手だということ。
こうしてぼけーっとしていることが真人も好きだということ。
好きな食べ物が同じということ。
会話が弾む、のいうものではなかったが、ポツリポツリと話すその会話の中で、美和は真人との共通点を見つけるたびにうれしくなった。それに、無理矢理話題を見つけなくても居心地がいい、安心感。美和が真人を好きになるのに、時間はかからなかった。
それは真人も同じだったようだ。そのバーベキューの間中、二人はずっと海を見ながら同じベンチに座っていた。
「おーい、その二人!肉なくなっちゃうぞー」
と誰かが叫んでもベンチを立たなかった。
「仲良しになっちゃったのねー」
このバーベキューに誘ってくれた麻衣が冷やかしながら缶ビールと、焼いた肉を載せた皿を持ってきてくれた。
気がつけばだんだんと空がオレンジ色へと変わっていた。
「また、会えるかな」
「わたしも今、そう言おうと思ってた」
二人は次にまた会う約束をして、ずっと一緒にいたのに別れ惜しく、駅前でお互いに手を振り続けた。
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