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「どうしたんだよ。そんなに怒らなくても。たかが、ゴミを捨てなかったくらいで」
いきなり怒りだした綾に、純平は驚いて瞬きばかりしている。
「たかが、じゃない!」
癇癪声でそう言った綾は、使い終わったほうの歯磨き粉をわしづかみして、嫌味たらしくゴミ箱に捨てた。
「ごめん。悪かったよ……」
マイペースで穏やかな純平は、朝から突然怒りだした綾に、応戦して怒り出すことなく、弱々しく綾に頭を下げていた。
いっそ、純平も怒ってくれたらよかったのに。そんなにキレるな!って、言ってくれればよかったのに。何で、謝るだけなのよ……。私だけが悪者じゃん……。
それに、こんなに嫌味たらしく捨てるくらいなら、怒ることなくそっと捨てればよかった。そうしたら、こんなことにはならなかったのに。
自分で自分を陥れている。ケンカしないようにと思っていたのに。自分からはケンカを吹っ掛けるようなことしちゃダメだ、と思っていたのに。
憂鬱な月曜の朝が、さらに憂鬱になった。
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