第1章

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急須に茶葉をいれるとふわりといい香りがした。ポットのお湯を注ぐと、さらに引き立った香りが給湯室中に広がっていく。その香りに綾は落ち着きを取り戻してきた。 緑茶を冷ましながら一口飲むと、綾はほっとした。朝からの怒り、その怒りへの後悔、同棲が終わってしまうかもしれない不安……。マイナスだらけの感情で押し潰されそうになっていた心が少しずつではあるが、落ち着きを取り戻してきた。 その心で今朝の出来事をどう解決すればいいのか考える。 どうしよう……。 どうしよう……。 謝らなければ。 でも私は、素直に謝れるだろうか。あんなに怒った手前、引っ込みがつかないとも綾は思う。 いやいやいや、そんなこと思ってる場合じゃない!謝らなきゃ! 素直に謝れるためにはどうしたらいいかなぁ……。 香り高い緑茶を飲んだとき、綾の頭にひらめきが沸いた。 そうだ、あれ、買って帰ろう! 綾は緑茶を飲み干し、湯飲みを洗って自分のデスクへと戻った。 「美紀ちゃん、ごめんね。おかげで元気になれた!本当にありがとう!」 綾はデスクに突っ伏していた綾とは別人のように、パソコンのキーボードを打ち始めた。 「綾さんスイッチ入りましたね~!スタバ、楽しみにしてますよ!」 「おう、ぜったい奢るから!」 綾は書類を見ながら次から次へと、入力をし続けていた。
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