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「まあな、理彩は?」
「ん?」
「遊園地でデート、ってあるのか?」
「……」
今日遊園地に来て、一番先に考えたこと……
篤史くんと別れた日に行ったあの日のことを思い出した。
あたしが『遊園地が好き』って言っていたのを聞いて、喜ぶだろうと連れていってくれた遊園地。
でもそんな篤史くんの気持ちも考えずに、あたしの頭の中は蕾斗さんのことでいっぱいだった。
あれが最後になるなら、もっと楽しんでおけば良かった。
「理彩?」
「え」
「理彩は、あるんだ?」
「な、なにが?」
「遊園地デート」
遊園地デート……
デートだったけれど、正直なにに乗ったか覚えていない。
「ちゃんと、デートしておけば良かった」
「理彩?」
「……」
声に出したつもりはなかったのに、蕾斗さんにも届いてしまった。
こんなこと、蕾斗さんに言ってもしょうがないのに。
「ううん、何でもない。……次、何に乗る?」
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