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中庭へ来た時の篤史くんは、物凄くやさしい表情をしていた。
いつもあたしを包んでくれたときと同じものだった。
蕾斗さんと出会っていなかったら、あたしはきっと篤史くんと恋愛していたんだろうな。
なんて……蕾斗さんと出会っているんだから、こんなこと考えていても意味がないんだけどね。
「ねぇ、ゴールデンウィークに何の予定を立てているの?」
夕食を食べながら蕾斗さんに訊いてみた。
「いや、たいした予定じゃねぇよ」
「にしては、『キャンセルしろ』って言ったよね?」
「……」
「蕾斗さん?」
「細かいこと言うなって」
そう言いながら苦笑する蕾斗さん。
でも、やっぱり気になる。
「で、何の予定?」
「……紹介したい……」
「え?」
「理彩を地元へ連れていきたいんだ」
「地元?」
「ん、俺の生まれ育った町を見てほしい。それから、家族や友達に理彩のことを紹介したい」
紹介!?
友達はいいけれど、家族も!?
緊張するじゃん!
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