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「おまえ、テレビの観すぎ。それにいつの時代の話だよ?」
「えっ、だって……今でもあるんでしょ? そういうの」
「どうだろな。でもうちの会社はないから安心しろよ」
安心しろよ……って言われても、やっぱり気になっちゃうよ。
てか、あたしって、蕾斗さんのことをなんにも知らない。
「ねぇ、蕾斗さんって兄弟はいるの?」
「いるよ。弟と妹が一人ずつ」
「蕾斗さん、お兄ちゃんなんだ。年は?」
「弟が大学二年で、妹が高一」
「ふーん」
「訊いといて、興味なさそうな返事だな」
うん、確かに。
興味があって訊いたんじゃなくて、なにも知らないってことに焦って訊いてみただけだった。
そういえば、友達にも紹介したいって言われたんだっけ。
それはいいけれど、やっぱり家族に会うのは……
嬉しいけれど、あまり気乗りしない。
だって、うちは普通の家族なのに。
お父さんは普通のサラリーマンで、お母さんも普通にパートに出てる。
二個下の弟だって、勉強もスポーツもいたって普通の高校生。
あたしも普通の女子大生。
特に優れているものを持っているわけじゃない。
だから蕾斗さんの家族に会うのは、正直まだ心の準備ができない。
不安だな。
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