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間に合った。
学校近くの交差点で、自転車から、ぴょんと飛び降りる。
「ありがとー。ここから、走るよ。」
「何とか、間に合ったな。」
「うん、貴志号のおかげだよ。」
人と自転車。並んで走る。
「ほらー、おまえら、急げー。」
校門に体育の南山先生。
去年のわたし達の担任だ。
「はーい。」
声を合わせて、ダッシュで滑り込む。
「まったく、おまえらは…。始業式早々。
今年も、お前等と一緒かと思うと、頭が痛いよ。」
わたし達の頭を、ぐりぐりっと拳(こぶし)で、撫で回す。
「えー?また、先生と、貴志と一緒なのー?」
憎まれ口を叩くわたし。
「えー、また、こいつの面倒見るのー?」
減らず口を叩く貴志。
「ああ、そうだよ。今年は、ビシバシ、いくからなぁ。」
ガハハと笑う先生。
「三組だからな。早く、教室に行けよぉ。」
そう言って、職員室に向かって歩いて行った。
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