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「じゃあね。」と手を振り、家の玄関を開ける。
「ただいまー。」
「お帰りー。」祖父の声。
茶の間に入ると、また、一眼レフのカメラを弄(いじ)っていた。
「お、晶も三年生かぁ。早いなぁ。よし、じゃ、そこに立って。」
祖父に促され、引き戸の前に立つ。
「はい、チーズ。」弄っていた一眼レフで、わたしを撮り、皺皺の顔で、「おお、良いのが撮れたぞぉ」と笑う。
「晶太(しょうた)は?」
「帰って来て、部屋にいってるぞ。お前が、早起きすれば、一緒に朝撮れたんだけどなぁ。」
そう言って、また、弄り出す祖父。
晶太は、わたしの弟。
今年、中学一年生だ。
「ふうん。」と言い、自分の部屋へ向かう。
階段を昇りながら、さっきの話を思い出す。
―――智が、先輩とキスかぁ。
なんだか、ちょっと、刺激的な話だった。
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