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同窓会の葉書が届き、ふと、当時、好きだった彼に、渡せなかった手紙の存在を思い出す。
押し入れの中に片付けておいた箱から、その手紙と若かりし頃のアルバムを取り出し、学生時代の想い出に耽(ふけ)る。
あの青くて淡い感情。
純粋だった頃の自分。
ただただ、切なかっただけの恋。
―――すると、家電が鳴る。
当時の彼からの電話だった。
受話器越しに聞く彼の声は、当時と同じものだった。
「元気だったか?」
「元気だったよ。そっちこそ、どうだったのよ?」
彼に対しては、いつも、憎まれ口を叩いてしまっていたわたし。
二十五年越しの恋物語。
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