電話

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「晶ー、ご飯よー。」 階下から、母の声。 「はーい。」 慌てて、階段を降りる。 「全く、あんたって子は、手伝ってって言っても、手伝ってくれないし。」 ぶつぶつと小言が始まる。 「ごめん、ごめん。昔の写真、見つけてさぁ。」 と言い訳。 「あんたのこと待ってたら、明日になっちゃうわ。…ほら、出すのくらい手伝ってよ。御飯よそって。」 「はーい。」 指揮官に言われ、配置につき、しゃもじを持つ。 「あれ、お父さんは?」 「間もなく帰って来るわよ。」 トゥルルルル、トゥルルルル… 家電が鳴る。 「晶、電話に出てー。」 「はいはい。」 指揮官の言う事は、絶対だ。命令に従い、受話器を取る。 「はい。もしもし、佐瀬です。」
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