手紙

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「ただいまー。」 「おかえりー。」 台所から甲高い母の声。 「あんたに、葉書、届いてたよ。」 「え?葉書??」 階段に、バッグを置いて、いつもの様に、台所に向かうと、母は、天麩羅を揚げている真っ最中だった。 「ほら、そこの棚に置いておいたよ。…同窓会、だって。」 第一陣のかぼちゃが揚がったのか、それを、ひょいひょいと、掬(すく)い上げ、新聞紙の敷いた皿の上に置く。 「へぇ、同窓会、ねぇ。」 一枚の葉書を手にし、文面を見ると、懐かしい友達の名前。 「洋人が、幹事やるんだ。…あ、智、苗字変わってるし。」 あの頃の、友達の顔が浮かび上がる。 「ともって、あの智恵ちゃんでしょ?結婚したのねぇ。」 わたしの話に加わりながら、第二陣の茄子を投入する母。 「あちっ。」 どうやら、油が撥ねた様だ。 「大丈夫?水、ちゃんと切ったの?」 「切ったつもりなんだけどね。まあ、大丈夫よ。」 ハハハと母が笑った。
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