手紙

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―――同窓会、かあ。 第一陣で、美味い具合に揚がったかぼちゃを一つ取り、はふはふしながら食べる。 「うまーい。」 ほくほくの甘い味が、口の中、広がる。 「まったく、あんたって子は、いつまで経っても。…早く、着替えして、手伝って。」 「はーい。」 台所を出て、階段に置きっ放しにしたバッグを持ち、自分の部屋へと向かう。 ―――あれから、二十五年かぁ…早いもんだな。 四十歳になったわたし。 離婚して、実家に出戻っていた。 ―――懐かしいなぁ。 大好きだった彼の顔が浮かぶ。 ―――貴志も来るのかな? あいつ。 青く淡い恋の相手。 冗談しか言い合わなかったあいつ。 ―――あ、そういえば…。
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