沈黙という恐怖

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私は母と二人で話すことに慣れていない。 これまでそういう時間がなかった。 それに、私はこんなところもある。 私は母を喜ばそうとするのである、 楽しんでくれるようにするのである。 それは過剰なまでのサービス精神だ。 母が笑ってくれているとホッとする。 母が楽しそうに、会話に乗ってきてくれると 安心する。 私の話にすぐ反応してくれて、 ポンポンってリズムのいい会話が成り立つと 妙にほっとするのである。 言い換えれば、そうでなければ私の心は緊張して 止まないということだ。 私にはそんな気持ちが横たわっている。 だからなのか、 いつしか私は自分でもそれを感じるほどに いつも話を少し誇張して言ってしまいがちになっていた。
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