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名前を名乗り合い、何処か彼女の名に懐かしさを感じ乍…互いに軽装で外出した経緯を話した途端、二人して公園に笑い声を反響させた。
要するに、彼女も何と無く部屋に籠るのが嫌で駆け出して来た様だ。
壁も天井もカーテンも布団も枕も真っ白で、白色が大嫌いだと言う。
そんな彼女の真っ白な部分に僕が惚れてるのは、なんて皮肉なんだろうか。
会話が進むに連れて流石に寒さが辛くなり、僕らは滑り台下のドーム内へと潜り込み、風を凌ぐ事にした。
子供には適度な広さ、遊び場としては最適なのだろう。彼女にとっても狭い訳でも無いらしい、小柄だものな。
しかし…僕にとっては少々問題があった、滑り台の滑走距離の確保の為か高さは問題ないのだが…。
風を避ける為に穴の場所を除いて考えると、彼女と程好く肩を寄せ合う形となってしまった。
中学時代、部活後の下校デートで当時の彼女と似た様な状況を経験したが、こんなに緊張なんてしなかった。
再度謝罪しておこう、ごめんな。
その時、ふわりと妙な香りが鼻を擽った。
…ん…?…何だこの匂い…?
嗅ぎ覚えはあるが、何処でだかは思い出せない…。其が何なのか特定出来ないまま会話は進んだ。
一通りお互いの事を話終えた僕達は、想像以上に打ち解け合い、会話は関心主導の相槌から笑い声へとシフトしていった。
今まで感じた事の無い感覚だった。
何と言うか、気が合うのだ。
話す事話す事、聞く事聞く事が互いのツボを捉えては心地好く刺激する。
この時の僕は知りもしないが、彼女はベンチに座る僕を見た時から。これから先に起こる未来が想像出来て居たらしい。
そして触れ合う身体に心臓を跳ねさせ、緊張に飲まれ無い様必死だったと。
女の子って凄いわ。
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