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昨晩の会話を必死に遡るも、解答は存在しなかった。
ええい、こうなれば。
適当にバケツに刺さった花達を見繕い、店員に交渉。ラッピング代を払うから、自分にやらせてくれと。
無駄に燻らせてた力を使う時が来た。
こう見えても僕は花道に心得がある。
好きな花は知らないが、ようは完成された花束が好かれれば言い訳だ。
…やってやるさ。
そうしてやたら白い部屋に、色彩の爆弾と共に参上した次第だ。
突然の訪問と贈り物に興奮した彼女は、はしゃぎにはしゃぎ倒し…この様である。
寝顔は安らかだ。緩く上下する肩と、微笑む様な表情に唾液が溢れる。
…いや、変態じゃ無いから。
出会った時は暗がりだったからか気付かなかったが、目の下に‘’くま‘’が出来ている。それと手首には白いリストバンド、病室番号と彼女の名前…血液型が記された物だ。
恐らく当てたくもない此の予想は正解だろう。
彼女は、重い病気に掛かっている。
しかし直接聞く事も出来ないし、昨日の今日だ。少々展開が早すぎる。
僕の対人スキルもキャパシティも、多分この子の心も追い付かない。
月並みだが、この子に何をしてやれるのだろうか。
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