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今日聞いた話では、生まれてこのかた学校なんて数える程しか登校しておらず。特例でこの病室にて試験を受け、何とか合格した高校も…先日留年が決定したとの事だ。
留年しようが周りはどうせ私を知らないから一緒だよと笑う彼女に対して…情けないが、何一つ言葉が出なかった。
空気を読んでるとか、気遣ってるととかで笑ってるならまだしも。
彼女は本気で言葉の通りに考えて居るのが分かるからだ。
いきなり彼女の全てを受け止められる程、僕の人間性は出来ちゃいなかった。
秋の仄かに冷たい風が、窓から流れて彼女の頬を擽る。
身動ぎ一つが愛しい、天使だ。彼女の存在が、驚異的な速度で僕の中に拡がって行くのが解る。
口元に掛かる髪を耳へと掛けてやり…静かに頭を撫で……。
病室の入り口から、憤怒を孕む強烈な視線を感じる。なんか、刺されて居る気さえする。
客人だ。
いや…。
予想では…と言うよりほぼ間違いなく…彼女の父親だろう。
嗚呼、だから早く起きておくれよmy sweet angel。
僕が殺される前に。
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