天使のパズル

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どうやら予想は外れたようだ。 いや、父親か否かの話では無く。僕が殺されるかどうかの話で、思っていたよりも娘の恋愛に関しては積極的な様だ。 そもそもまだ恋愛等に発展してやしないし、僕が盛り上がった所で彼女の真意が分からない以上何とも言えない。僕の思いも、恋愛的な好意よりも…憧れ…羨望って言葉がしっくりくるのも事実だ。 彼女の父親は、僕を見た瞬間に寝込みを襲う変質者だと思ったらしい。まぁ確かに襲われる容姿してるわ、気を付けてくれよな天使様。 無防備な寝顔は、僕の前だからだと信じたいものだ。 昨日出会ったばかりで、我ながら馬鹿な事を考えている。 この父親の態度から察するに、この子は矢張り長くは無いのだろう。 15、16歳の少女の父親…しかも会話の節々から溢れ出る愛情を押さえきれない様な人が、昨晩出会った素性の知れぬ変な男と付き合うのに賛成するなんて事は先ずあり得ない。 きっと、死ぬまでに遣りたい事を遣らせて遣ると…そう言う事なのだろう。つまり、余命宣言…それに準ずる何かがあるのだろう。 と、此処で彼女が星を好きな理由が判明した。 なんとこのお父さん、天文学者との事だ。物凄い計算とか物凄い文献とか物凄い時間とか掛けて星の神秘に迫る、とてつもなく根気の居る仕事だ…ってくらいしか知らないが。 学者ってだけでエキスパートな訳であり、人類の中で其の分野では右から数えた方が早いと言う事だ。 つまりは凄い事だ。 父親と言う星の博士が、その魅力を100%引き出した個人授業をしてくれる…まぁ好きにもなるだろう。
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