1人が本棚に入れています
本棚に追加
星が綺麗だ。
意外にも、23区内でだって星は見える。田舎で眺める、手が届き掴めそうな、星が降り注ぐような満天ともいかないが、上京する若者が胸に抱く夢や希望の様な輝きが、遠く遠く遥かな向こうにチラチラと煌めく。
感動は与えてくれないけど、何と無く安心をくれる。
きっとこの同じ景色を見てる誰かが、何処かに居るのだと。この世界で、僕は独りでは無いのだと。
ガラにも無いのだろう、分かってる。それでもたまには感傷に浸りたい時もある。
全てを含めて自分に酔っているのかもしれない。
深夜に出て来て誰も居ない公園で…。
「ん………?」
誰も居ない筈の公園…その奥の方から僅かに物音が鳴った。
金属が軋む様な、擦れる様な。
…きぃ………きぃ……
そう、こんな音だ。
僕の居るベンチの場所から奥には、2つ程遊具がある。
子供がかくれんぼ等で使っていそうな、潜れる穴が4つ空いたドーム部分の上に滑り台が合体したもの。
そしてもう1つは…。
そう、ブランコだ。
つまり無人だと思って居た公園には、先客が居たと言う事だ。
ブランコに乗っている人物からは、街灯下のベンチで哀愁漂わせ黄昏て居る僕の姿が、ステージでピンライトを浴びて居るかの如く照らし出されて居た筈。
なんとまぁ、恥ずかしい事か。穴があったら是非とも頭から突っ込みたい。
しかもこの寒空の夜闇の下で、半袖
シャツに高校時代のジャージのズボンと来たものだ。
考えれば考える程、体が熱くなる。
主に顔。
最初のコメントを投稿しよう!