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「こ、こちらこそ年下で頼りない男ですが、ヨロシクお願いしますっ!」
「早速なんだけど、これから出かけなきゃならなくて。三上さんの所みたいに安全な場所じゃなく、ちょっと厄介な場所なの。だから……」
「そうなんですか。そんな危険な所に、ひとりでお仕事に行かれるんですね、分かりました。お供いたします!」
(は? いきなり何を言いだしているのこの人――)
「いえいえ。本当に危ないんですよ三神さん。アナタを連れて行ったりしたら、どうなるか」
ピュアな人だから、乗っ取られる可能性だってある。なのでなるべく、お荷物は置いていきたい。
「ご一緒させてくださいっ、お願いします。お仕事中は遠くの方で待機して邪魔にならないよう、自分の身は自分で守りますから」
遠くで待機するって言っても、何だかなぁ。安全っていう保障は、どこにもないのに。
「……まったく、分かりました。そこまで仰るなら、私がアナタの身をお護りします。だから現地では絶対に、勝手な行動を慎んでくださいね」
渋々承諾すると、ぱあっと笑顔の花が咲いた。本当に嬉しそうだ。
しかし初めてのデートが、危ない土地の霊査でいいんだろうか? 色気も素っ気もあったもんじゃない。
だけど――
自分以外に護らなければならない者が出来たことで、自然と活力が体の中から沸くのが分かった。こうやってどんどん、強くなっていけるのかな。
玄関に三神さんを待たせておいて、除霊グッズなどを手早くカバンに詰め込んでから、一緒に外に出る。
彼の存在のお陰でどんな困難にも負けることなく、仕事を乗り切れる予感がした。
――彼女のお導きに感謝しなければ――
おしまい
拝読有り難うございます(・∀・)
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