25人が本棚に入れています
本棚に追加
***
「お父さん、おはよ。……例の見合いの話さ、断ってくれないかな」
朝っぱらからの娘ワガママに、父は簡単に激怒した。
「落ち着いて話を聞いてって。託されちゃったのよ幽霊に。頭を下げてきたんだ、彼を幸せにしてあげて下さいって」
私の言葉にうっと押し黙った。
「部屋でずっと彼と過ごした彼女だからこそ、彼がしっかりしてる人だって勧めてくれたのよ。年下だけどイケメンだし、ピュアな感じの人なんだ。間違いなくお父さんも、きっと気に入るって思う……。えっ!? 今晩自宅で彼と一緒にいろって? 九州から、わざわざ意識を飛ばしてやって来るの!? 今夜は霊査でちょっと出かけなきゃならないから、別の日にしてちょうだいよ」
娘同様にワガママな父に翻弄された。やっぱ親子なんだなぁ。
そんなことをしみじみと思いながら適当に話を合わせて、電話を切る。
娘が心配で今まで付き合ってきた彼氏と自分を比べては、難癖をつけていた父。三神さんを見たらそのイケメン具合に間違いなく、挫折感を味わうだろう。しかも真っ白なオーラを見たら、何も言い出せなくなると思われる。
くすくす笑いながら、出勤の準備をした。
最初のコメントを投稿しよう!