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扉を開いて外に出た瞬間、ポカポカとした春の陽気が私達を包み込む。
亜美は「いい天気だねー」と言いながら空を見上げた。
そう言えばあの日も、今日みたいに青い空だった。
あれから7年。
私は母親として成長したのだろうか。
泰彦さんは私が苦しんでいる時、いつも言ってくれていた。
「皐月は頑張り過ぎる事があるから心配だ。たまには空を見て、何も考えない時間も必要だよ」
半年も掛けた企画が崩れ、上司に叱責された時も。
マリッジブルーになり、毎晩泣いていた時も。
亜美が産まれ、夜泣きで気が狂いそうになっている時も。
泰彦さんは包み込むような笑顔で、私の頭を撫でながらいつも言ってくれた。
泰彦さんが亡くなってから7年経った今も、私はこうやって空を見上げては深呼吸している。
亜美もほとんど手が掛からなくなってきた。
たまにクラスの友達と、パパが居ないことが理由で喧嘩したり、泣いて帰って来た事もあった。
その度に私は同じように涙を流しながら、亜美を抱きしめた。
すると、亜美はすぐに明るい笑顔に戻って、「明日も頑張る」と呟く。
その笑顔に、私はどれだけ救われたのだろう。
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