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夏のとても暑い日が続いていた先日とはうって変わり、本日はとても涼しく、心地よい風が吹いていた。
大きなガラス張りの窓を全開にし、リビングで寛いでいた俺は、リビングに面した庭で何かを作っているらしい父さんの傍に歩いて行った。
「で、なんのお使いをすればいいの?」
「ああ、檜の木材が二、三本足りないんだ。悪いが、裏山の倉庫から持ってきてくれないか? 今ちょっと、手が離せないんだ」
「なんだ、そんなことか。すぐ取ってくるよ」
「いやあ、実はさっきお前が来る前、茉莉(まり)に頼んだんだが…どうにも帰りが遅くてな。様子見がてら、木材を持ってきてくれよ」
茉莉とは、中学一年生になったばかりの俺の妹だ。小学校のころから運動部に所属していて、体力もある、結構な力持ちである。
「あ、そうだ。お前、“剣”忘れるなよ!」
「大丈夫だって。忘れたりしないから」
ひらりと手を振って、父さんから踵を返す。
そういえば、さっき父さんが制作していた小さな星型のようなモノ。不思議な光を放っていたように見えたのだが、気のせいなのだろうか。
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