バラバラになった少女

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 久しぶりに地元で集まった私たちは、私たちがいつも遊んでいた近所の裏山に、幼い少女の、手足だけの幽霊が出るという噂の真相を確かめるために、真夜中に、懐中電灯を片手にとって、例の裏山へと向かったのだった。  頭の中で、『スタンド・バイ・ミー』の有名な曲が、若干スローモーション気味で、耳障りなノイズを交えながらかかっていた。  真夜中の裏山は、住宅街の近くにあるものだとはいえ、やはり人間界のそれとは一線を画していた。薄気味悪いけものの気配を絶えず感じ、秋の虫の音が、よりいっそうその霊地を不気味なものへと変えていた。  寒くなり始めていたこの季節、真夜中であることと、また特別な空気感によって、そこはまるで氷の中の冷たさであった。  私は、そもそも心霊現象というものを、全く信じてなどいなかったので、奥まで探し回っている皆とは別行動を取り、近くを適当にふらついていたのだった。
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