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そもそも、手足だけの幽霊なんて、聞いたこともないし、もちろん見たことなどない。そもそも、どうして少女のそれとわかるのだろうか…?
その時だった…確かに、小さな手足のようなものが、ふわふわと漂い…?
突然その手足は、花びらへと変わり、ひらひらと舞い落ちる。
「なんだ、“幽霊の 正体見たり 枯れ尾花”ってやつじゃあないか!?この場合、“幽霊の 正体見たり 散り花弁”ってやつかな?」
ホッと安心したのも束の間だった。
そこに立っていたのは、いや、這いつくばっていたのは、両手と片足がもぎ取られ、確実に首と胴体の間に、異常な隙間のある、可愛らしい少女の成れの果ての姿だったのだ。
私は、声という声を奪われ、魂を抜き取られたような感覚を味わい、叫ぶことも、逃げることもできず、ただその少女の目の前で、茫然と立ち尽くしてしまった。
酸化したどす黒い血の塊に覆われた少女は、私の恐怖に構うこともなく、そのあられもない姿とは裏腹に、愛らしい声で、
「また会えたね。今日は何して遊ぶ?」
とつぶやいた。
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