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音楽を耳に流し込みながら、単語帳をペラペラめくる。
校門を抜け、クラスに向かって席に座る。
窓際の一番後ろ。
窓から咲き乱れる桜が一望できる。
花びらがくるりくるりと舞って。
校庭を鮮やかに桜色に染めていた。
つい、と窓から目を逸らす。
桜は嫌いだ。
清らかで。
綺麗で。
そしてとても儚い。
だから私は桜が嫌いだった。
春が嫌いだ。
人との出逢いの季節。
人間関係。
そう言ったものを作らない私には。
ただただ鬱陶しくて。
ただただ面倒で。
そして。
少しだけ辛いものがある。
劣等感など覚えない。
だけど。
出逢いというのは別れと表裏一体。
出逢えばそれだけ。
別れが辛い。
期待すればするほど。
裏切られた時、とても辛い。
そんな昔のことを思い出すから。
春も。
桜も。
出逢いも。
人も。
なにもかも。
大嫌いだ。
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