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少女は勢いよく飛び起きた。なんだ夢であったのか。
私たち人間を飼うなんておかしな夢をみたものだ。
それにしても頭が重い。
全身鏡の前に立ち、電気を点けると頭に何か、かぶせられていることに気付いた。
ヘルメットのような、野球帽のような、変な形をしている。
つばの部分には“日本”の文字が彫られていた。
「なにこれ?」
だが、少女は目があらぬ方向を向いたかと思えば、膝を折り、その場に崩れ落ちた。
しばらくして部屋のドアをあけたのは、無機質な人間のような顔の面々。ロボットだ。
「捕獲完了しましたネ」
「こちらは希少種日本になりまス」
「おいくらですカ?」
「そうですね~日本はもう世界に100体ほどしか居ませんからネ~」
「やだな~勘弁してくださいヨ~家のローンも残っているのニ。お安くお願いしますヨ~」
楽しそうに話すロボットたち。
その足元に転がって動かない少女の頬を、一筋の涙が伝った。
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