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他の学年やクラスにはまだ生徒がいっぱい残ってたみたいで、昇降口は帰る人たちで賑わっていた。
「今日いろはは?一緒に帰んねぇの?」
いろはは私の親友で、彼女とも高校に入ってからの友達だ。
「うん。今日はデートだって」
「あぁ、あの他校の彼氏か」
「そう」
「お前は?」
「何それ嫌がらせ?いないの知ってるじゃん」
校門を出て並んで歩いていると話を振られてムッとする。だっていないの知ってるのにわざわざ聞くことないじゃん!
「いやまぁそうだけどさ。最近できたりしたかなぁって。それは?ミツキは?」
制服のポケットに入れた携帯を顎でしゃくりながら聞いてくる内容に、何言ってんだこいつはと思った。だってミツキさんと付き合ってるとかあるわけないじゃん。
「ミツキさんは友達みたいなものなの。私なんかが付き合えるわけないじゃん」
そんなこと考えたこともなければ恋愛的な目で見たこともなかったから、呆れ気味に笑うと瀬戸は眉間に皺を寄せて不機嫌顔になる。
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