類の想い

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ファッション誌の撮影で都内のスタジオに来ていた俺は、自分の撮影が終わると着替えていた。 他のモデルも受け持っているマネージャーの松宮さんは今日来ていない。 撮影が無事済んだことをメールするとバッグを掴んで部屋を出て、スタジオへ挨拶に向かった。 「お疲れさまでした、じゃあお先に失礼します」 皆のお疲れ様でしたという声を背後で聞きながらスタジオを出ようとした俺を引き止める人がいた。 「君、ちょっと待って」 「え、あ、俺ですか?」 「そうそう、えっと確か有坂くんだったよね?」 「そうですけど」 いかにも業界人って感じの30代半ばくらいの渋い男で、爽やかな笑顔を浮かべている。 そういえば、スタジオにいたかも? 「いやさ、ちょっと話したいんだけどこれから時間ある?」 「あの……何でしょうか?」 スタジオにいたから関係者なんだろうけど、知らない人は苦手だ。
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