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「はい」
心の叫びは小さな小さな声になり、私の口から簡素な返事がポロッと零れただけだった。
「実可子ちゃん大丈夫?茹でダコみたいになってるけど」
何と揶揄われようとも気にすることができないくらいに顔は熱く、頭の中も沸騰したみたいになってるのが自分でも分かった。
私がやっと落ち着きだしたのは帰らなきゃいけない時間になったころで、名残惜しさを感じながらもバスが出ている駅へ向かうことにした。
「実可子ちゃん駅まで送って行くよ」
「それがいいね。じゃあ皆で行こうか」
類さんが車で送ってくれることになり、そのままミツキさんも私を送ったら帰るということで四人で車に乗り込んだ。
車だと駅まではあっという間で、車内が暖まり始めた頃には着いてしまって何だか寂しくなる。
「じゃあ私行くね。お兄ちゃんもたまには帰ってきなよ、お父さんもお母さんも待ってるから」
「分かった。近いうちに必ず帰るよ。またメールする」
「うん。じゃあね」
車を降りて車内にいる三人に手を振って歩き出しすと、後ろでドアの閉まる音と走りよってくる足音。
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