火灯し時

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緋色の門へと夕陽が沈めば 死者達の集う祭りの始まり 下手な仮装は所詮お遊び 悪魔の尻尾を見たら冥界行き ヒースの花咲く丘の古城では 失せもの探して蝙蝠が飛ぶ 窓辺の陰に気付いてはいけない 一番星も雲間に消える ランタンに火を灯しましょう 誘われ来る君は何人目? 冷たい門が槍を隠して嘲笑う 差し出されるのは菓子か剣か 黒マントに隠した心へ 灯る希望は刳り貫かれた南瓜の中 蝋燭の火が燃え尽きようと 覚めない夢で回る因果 完全へと焦がれながら 振るい続ける闇(クラ)い狂刃 分かたれた魂が呼びあう儘に 亡者の城へと迷い込む羊 幼き魔女の唇を借りて 北叟笑む陰が甘やかに告げる さあ、 魂のケーキを召し上がれ――
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